相続人が存在しない -相続財産管理-
相続において誰が被相続人の法定相続人になるのか、その相続順位と範囲は民法によって定められています。
しかしながら相続人全員が亡くなっていて代襲相続人もいない、相続人全員が相続放棄をしたという場合には、相続は発生しているものの相続人は存在しない状況となります。
このように相続人が存在しない相続では、被相続人の債権者等が不利益を被る可能性があるといえます。そうした場合に家庭裁判所で選任してもらう存在が「相続財産清算人」です。
相続財産の管理や処分の権限を持つ「相続財産清算人」
相続財産清算人とはその言葉通り、相続財産の管理や処分を行う権限を有する存在です。利害関係人(被相続人の債権者、特定遺贈を受けた者、特別縁故者)もしくは検察官等が家庭裁判所へ申立てをすることで、選任してもらうことができます。
相続財産清算人となる方は、家庭裁判所が利害関係等を踏まえたうえで相応しい方を選任します。
〔相続財産清算人の主な役割〕
- 相続人の存在についての調査
- 債権者や受遺者に対する支払い
- 財産を引き継ぐ手続き(特別縁故者がいる場合)
相続財産清算人になるための資格はとくに設けられていませんが、相続人の代わりに法的な手続きを行う立場にあります。それゆえ、弁護士や司法書士といった専門家が選任されるケースもみられます。
なお、相続人が存在しない相続では、知人や友人等が被相続人の葬儀費用等の支払いを立て替えるケースも少なくありません。しかしながら相続財産に関する権限を有していない場合は相続財産からその分を返還してもらうことはできないため、注意しましょう。