家族信託における受益者について
信託財産によって生じた利益を受け取る権利のことを受益権といい、その権利を有する方については「受益者」と呼びます。
受益者を指定できるのは原則として委託者のみであり、受益者には委託者自身はもちろんのこと、法人・個人問わずなることができます。
しかしながら受益者は信託財産の管理・運用・処分等を行う受託者の業務履行を監督する立場でもあるため、未成年者や高齢者を受益者に指定する場合はあわせて「受益者代理人」も選任しておくと良いでしょう。
受益者を指定する際の注意点
信託契約において受益者を指定する場合、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。以下でご説明いたします。
受託者と受益者が同じ人物の場合
受託者と受益者が同じ人物である場合、委託者が受託者へ実質的に信託財産を譲る形となります。
それでは信託を利用する意義がないことから、1年で信託は終了します。
受益者が亡くなった場合
受益権は相続の対象となるため、受益者が亡くなると法定相続人に承継されます。
受益者が亡くなった際に受益権を第2次受益者へ移すには、前もって信託契約(受益者連続型信託)で定めておく必要があります。
贈与税の対象(信託における税金)
家族信託においては、誰が受益者になるかによって贈与税の対象となる可能性があります。
これは「受益者は実質の所有者である」という考え方に基づいているもので、主なケースは以下の通りです。
委託者および受益者がA、受託者がBの場合
委託者と受益者が同一の場合、Aは信託した自分の財産により生じた利益を受け取ること(自益信託)になるため、贈与税についてはかかりません。
委託者がA、受託者がB、受益者がCの場合
このようなケースのことを「他益信託」といい、AがBに財産を信託することによりCが利益を得ている状況は贈与とみなされ、1年間の利益が110万円以上生じた場合には贈与税の対象となります。