限定承認の手続きについて
こちらでは限定承認の申述を行う際の手続きについてご説明いたします。
そもそも限定承認とは、相続においてプラスの財産を上限としてマイナスの財産を引き継ぐ方法です。
限定承認の申述をする場合、相続が発生したことを知った日(被相続人が亡くなった日)から3か月以内に被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所にて相続人全員の合意を得たうえで申述をする必要があります。
限定承認を選択する場合には財産調査を確実に行い、慎重に行いましょう。
限定承認の申述に必要な書類
- 申述書
- 被相続人の住民票・除票または戸籍の附票
- 被相続人の出生時から亡くなるまでの戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 申述人全員の戸籍謄本
- 財産目録、当事者目録 等
※その他、必要書類が求められることがあります。
請求申出の公告・催告
限定承認が受理されると、限定承認が受理された日から5日以内(相続財産清算人の場合は選任後10日以内)に、限定承認をした旨と債権の請求の申し出をすべき旨の公告(官報掲載)の手続きを行います。
手続きは限定承認者(限定承認の申述を行った相続人)が行います。相続人が複数人いる場合には、申述の受理の際に選ばれた相続財産清算人が行います。
公告の申し込み方法
公告の申し込みは官報販売所のホームページ、メール、郵送、FAX等で受け付けています。申し込みから掲載までの必要日数は7日程度となっており、約4~5万円の費用がかかります。
公告期間内に行う手続き
公告期間は2か月です。その公告期間にやっておくべき手続きをご説明いたします。
- 財産管理口座の作成(相続人が複数いる場合)
相続人が2名以上いる場合、家庭裁判所によって選任された相続財産清算人がこれからの清算手続きをする際に必要な口座を作成します。 - 相続財産の換価の手続き
被相続人名義の口座がある場合、限定承認の審判書を使い被相続人名義の口座を解約し、新たに作成した財産管理口座へ預金を移します。 - 不動産の換価
相続財産の中に不動産がある場合、相続財産清算人は家庭裁判所に対して不動産競売の申立てをし、不動産の換価をします。相続人が住んでいる自宅など、どうしても不動産を買い取りたい場合、家庭裁判所に鑑定人専任の申立てを行い、不動産の競売手続きを止めることで優先的に買い取ることができます。
公告期間後に行う手続き
- 配当弁済の手続き
相続財産清算人は公告期間後に申し出た債権者に対して、債権額の割合に応じて配当を行います。 - 残余財産の処理
債権届け出期間に申し出のなかった債権者や相続人が把握していない債権者がいた場合、配当手続きが終わった後に残った残余財産についてのみ弁済を受けることができます。
配当手続きが終わった後にも債権者から申し出があれば清算する可能性があるため、残った財産を手を付けずにおいておくと手続きをスムーズに進めることができます。